大正時期の扇風機修理

大正時期のSEW(Shibaura Engineering Works)
現 東芝の前身 芝浦製作所製の扇風機<交流電気扇>
レストア日誌
以前より気になっておりました古い扇風機を入手することができました。
しかしご覧のとうりの錆びだらけ・・・もう少し綺麗になればね・・・
こう言った気持ちからのレストア日誌です。
私もこのレストア日誌を自分のおぼえ書程度にと
WEBページを作成しましたが 作業手順、作業方法、
解説など間違っている所も多少あるかと 思いますが
興味のある方のささやかな参考になれば幸いです。
また、文章 写真 レイアウト等ごちゃごちゃですみません。


↑レストア前の扇風機です。
この扇風機について少し調べてみました。
製造時期は大正期、現東芝になる前身の芝浦製作所製。
羽根のガードが結構簡素なので初期モデルのようです。
また、扇風機は時代によって「電気扇」や「煽風機」とか
「旋風機」と書き表されたようです。
名板も大正時期は英語表記 戦後は英語を嫌ってか
日本語表記となっているようです。
大正期に扇風機とはけっこう贅沢なもので裕福な家庭にしか
無かったようです。今手元にあるこの扇風機ですが、
すでに90年以上たっている事が信じられません。
よくぞ残っていたと・・・(^^♪
本体はけっこう錆びだらけで触れるだけで塗装はボロボロ。
羽根は緑錆かと思ったのですが戦後の流行だそうで
緑色の塗装がしてあったようです。
そう言えば実家に あった古い扇風機(昭和30年程度)は緑色
していたのを 思い出しました。
さすがにこの扇風機の電線類は 現在のものに交換されているようです。
電気系には異常が無いようでなんとか 羽根は回転してくれています。
それでは、この扇風機のレストア作業を進めていきたいと 思います。
どこまで綺麗にできるのか楽しみです。
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↑磨いてみました。
緑色に塗装されていました羽根ガードをサンドペーパ で
ごしごしと磨いてみました。けっこう錆びが酷く
ここまで光らせるのに2時間程度みがきました。
羽根の塗装は剥離剤でもけっこうしつこく
結局プラスチックスクレパーで剥がし
そのあと#1000~#2000水ペーパーで仕上げました。
SEWのロゴマーク部は剥離剤付け置きでなんとか はがせました。
金色の羽根っていいですね。
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↑洗浄してみました。
パーツクリーナーにて洗浄するつもりでしたが
汚れが酷く灯油にて仮洗浄することにしました。
適当にあったプラスチック受皿に灯油を入れて古歯ブラシ
で磨きました。首振り装置部、モーター前面軸受油容器からは
固着したグリースが出てきました。
ご覧のとうり灯油は早々 に黒くなり3回程度交換しながらの
洗浄となりました。 この灯油洗浄だけでもけっこう綺麗になりました。
パーツクリーナーの出番が無かったようなので上塗り塗装前
の脱脂に使用します。
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↑並べてみました。
灯油での仮洗浄を終え一度部品ごとに整列させて写真に
収めておきます。最終組み立て時のために・・・
モーター部、ベース部の黒色塗装剥がしもけっこう
苦労しそうな予感です。モーター前面軸受け部の注油装置?
もグリースで固着していました。カッターナイフの背で
そぎ落としてみた所、どうやらフェルト状の物だと
分かってきました。それならばと手元にあった薬瓶に
灯油を入れてエージング?させておきます。
もう少し解けてくれるといいのですが・・・
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↑ローターの位置調整?
この扇風機の分解時にローターが異常に前後移動していました。
実測してみると6~7ミリ程度動きます。どうやら何かの部品が欠落
しているのか?はたまたローターが別物に交換されているのか?
不明です。仕方なくカラーを自作することにしました。
何がいいかな?
写真にある物は配管用テフロン樹脂パッキンです。
とってもスベスベです。(^^♪
これをカッターナイフで切断・・・とりあえず3枚作成して
ローターにはめ込んでみました。
ステーターコイルと ローターの位置関係、
ウォームとウォームホイールの位置関係
を確認しながら枚数を調整します。
羽根は回転すると風圧の反力で ローターは後方に押されることも
考慮し調整します。 よく見るとウォームギアの中心付近が
ウォームホイールとの かみ合いで摩耗しているのが分かります。
なにせ大正時期の 扇風機ですから・・・
最終組み立て時に調整します。
それとローター外周部に回転方向に沿ってたくさんのキズが
あるようですがステーターコイルと接触しているのか?
ローターの旋盤加工時の痕なのか?不明です。
接触音が出なければいいのですが。 それにしても酷いな・・・
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↑塗装してみました。
吹きつけ塗装も良いのですがほとんど散ってしまいそう
なので刷毛塗りをしてみました。これがけっこう楽しかったね。
鼻歌まじりの作業で3回程度の重ね塗りをしました。
けっこう綺麗に出来たと・・・我ながら関心?
中心のSEWロゴもオリジナルは黒色塗装となるところでしょうが
もう少し考えてみることにしました。
案外に赤色もいいものかと? いかがでしょうか?
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↑バフ研磨してみました。
#2000の水ペーパーで磨いたあとバフ研磨してみました。
この扇風機!綺麗にしてやる!だけの気持ちで磨きすぎました。
ピカピカと言うよりビカビカになってしまいました。
これじゃもうアンティークじゃないようです。
バフ研磨+クリアー塗装の予定でしたが上塗り断念します。
光りすぎ・・・よってこのまま放置・・・
2~3ヶ月もすれば多少曇ってくるはずです。
丁度よい感じになってくれるのでは。
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↑実体配線図です。
本体を分解した時のメモ書きを図面にしました。
この調速用コイルもけっこう汚れています。
接点類も少し磨いたほうがよさそうです。
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↑電気結線図です。
実体配線図より結線図を作成してみました。
分解ついでに各コイルの直流電気抵抗を測定しておきました。
各数値は市販のデジタルテスターでの測定値で多少の誤差は
了承ください。しかしこのモーターはなぜ回るのでしょうか?
どなたか詳しい方・・・教えてください。
なぜ磁界が回るのか?起動は?このあたりが素人です。 <m(__)m >
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↑本体の塗装剥離作業中です。
既設黒色塗装の剥離作業中です。
剥離剤を使用するより カッターナイフで剥ぎ取りました。
本体の鋳物仕上げも けっこう荒削りなもので
カッターナイフで十分と判断 しました。
写真下側が剥離のみ。上側が剥離後ペーパー 仕上げです。
作業途中ですが報告まで・・・(^^♪
近頃気温も上昇し遅れに遅れておりました最終上塗り塗装を
行いたいと思います。やっとこせここまで来たね(^^)v
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↑前回に残しておいたパーツクリーナーで塗装前の脱脂を行います。
次に必要部分のマスキング・・・
いよいよ最終工程・・・突入?
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↑塗装は自宅の工房(^^ゞ(物置兼ゴミ置き場)で行います。
工房の屋根より紐で吊るして塗装します。
工房出入り口の一部を新聞で外気と遮断します。埃防止。
この日は気温も高く物置の中と言うことで30度位あると思われます。
ラッカースプレーの重ね塗りも5回程度できました。
これだけの部品の塗装に1.5本程度の塗料が使用できました。
塗り厚も抜群です。満足のいく結果です(^^ゞ
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↑マスキングを剥がしたところです。
我ながら結構きれいにできたね(^^)v
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↑以前灯油につけ置きしておいた軸受け給油用のフェルトです。
ご覧のとうり瓶の中の灯油は結構茶色く変色しております。
フェルトは見違える程きれいになりました。
レストア後の軸受け給油はグリースをやめミシン油を使用する予定です。
フェルトの油の吸い上げがミシン油のほうがよさそう?なので・・・
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↑ついに完成!
見違えるようになった扇風機。まるで新品。
90年以上前の扇風機とは思えません。
そして驚いたことに切り替えスイッチを強にすると
壊れるのかと言う位回転します。
正直!強では使いつづけられません。
壊れそうでこわい(^^ゞ
ちなみに現在は首振り装置内のウォームホイールと
プラネタリーギヤーは取り外しております。
前回の分解時にも気になっておりましたギヤーの磨耗です。
現在は首振り完動品ですが使い続けるとこの先必ず故障する。
もちろん補修部品なんてありません!
構造上首振りしなくてもウォームギヤは常時噛み合い式なもので
磨耗対策のため取り外しました。
先ほども早速風呂上り洗った髪の乾燥に使用させて頂きました。
何度も書きますが強の風量は、はんぱない!
びゅーーです。(^^ゞ
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↑オリジナルに近づくため
センターキャップも塗装しました。
最初ちまちまと細い筆で文字の間を塗っていたのですが
文字の境目がきれいにいかず・・・(-_-;)
素人丸出し状態これでは・・・だめよだめだめ・・・
今度は全部塗装して半乾きの頃合を見て
シンナーを浸み込ませた綿棒で文字部分の塗料を拭き取る。
この方法ならすっきり文字が浮かび上がりました上出来!
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↑ほんとうはもうひとつ作業が残っています。
コンセントです。電源コードは袋打ちコードですがコンセントは?
なんじゃこりゃ?いまだ注文していないポニーキャップコンセント。
少しだけ仕事を残しておく・・・
これが私流(^^)vいずれ交換ね。

【作業の進捗状況】
扇風機本体の古い塗装を剥がしています。
塗装は屋外での吹付け塗装となりますが気温が低すぎるようです。
もう少し暖かい日が来るまで辛抱か?思案しています。
2015/02/01更新

作業が中断しまして1ヶ月となってしまいました。
明日からまた寒波が来るようです。
室内での作業ができないため残念です。もう少しの辛抱です。
2015/03/09更新

2015年の正月休みから始まったレストア作業も
5月のゴールデンウィークでようやく完了となりました。
今年の夏はプライベートでこの扇風機を使用する予定です。
大正ロマンの満喫じゃ!(^^)v
2015/05/04更新