黒電話(4号A自動式)修理

古い黒電話が我が家にやってきました。
外観は少し白く変色して
いかにも古電話っと言う感じで・・・
動作には問題無しと聞いていたのですが
なかなかの問題児でした。
いじりがいがあると思えば
楽しいものですね。
携帯電話~スマホが当たり前の時代に
こんな黒電話が・・・(^^ゞ
でも、いまだにダイヤルを回すなんて
表現があります。
ダイヤルを回す事が無くなってしまった
この時代でも通用する言葉で
電話回線って言いますよね。

では、この黒電話の紹介です。
電話本体の裏側に紙が貼ってありました。
メーカーは沖電気製
形式は4号A自動式、昭和38年9月製造の様です。


入手した時の写真を撮影しておくのを
忘れておりました(^^ゞ
この写真は受話器ケーブル修理と
本体の磨き作業完了時の写真です。


入手した時の受話器ケーブルです。
ストレートのゴム被覆ケーブルですが
両端がご覧のとうりで銅線が露出しておりましたので
両端を10cm程度切断してケーブルの先端を処理・・・
早々に外線に接続して試験をしてみました。

着信は素直にOKでした。
チリリン チリリン・・・って本物のベルの音がします。
素晴らしい!!!
電子音が当たり前の時代に本物のベルの音・・・
本当に癒されます・・・(^^ゞ
通話もOKでしたが
少々のノイズがありました。

次は発信試験なのですが
これがトラブル続きで・・・
私の分解癖が全開で
あきらめ半分、期待半分でして
電話と言う機器を初めて分解し
試行錯誤でした。
が・・・結構
楽しんでます。(^^ゞ

トラブルの内容ですが・・・
受話器を上げツー音を確認後
ダイヤルを回しても再びツー音に
変わる時や、このIP回線特有の
信号音に変わる時があります。
また、ダイヤルを回した番号に回線が
接続されない!
どこに接続されるか
分からない!
ランダムアクセスとは
この事か・・・( `ー´)ノ
これは致命傷です。
使い物にならないトラブルです。
最初は0~9番の特定の番号に
不具合があるのかと思ったのですが
構造上あり得ない?
回線が3回に1回程度正確に
接続されるので特定の番号でもない。
なんだろう?この症状は?
着信だけで使うか・・・とも
考えたのですが・・・
それじゃ、あきらめを認める?
いやいや、ここで懲りないのが
私の性分でして・・・(^^ゞ

早々にネットで調べてみました。
どうやらIP回線との相性だとか?
ダイヤルスピードの相性だとか?
古い電話機は仕方がない・・・
あきらめろ・・・

いろいろと調べましたが
これと言った解決策の
書き込みも無く
あ~どうしようか?
と思案・・・

ところで
我が家の電話回線もIP回線で
パルス発信となっており
NTTとは未契約です。
既設のFAX付ボタン電話はダイヤル設定が20PPSと
なっています。この設定を10PPSに変更して
発信してみました。
結果はOKでした。
発信できるやん!

っと言うことは・・・???
この黒電話機が故障している証拠やね。
修理できる可能性が出てきました。
楽しみやね。よっしゃ・よっしゃ・・・(^^ゞ


早々に中身を拝見・・・
結構簡単な構造です。
ほんと機械式です。(涙)
ちょっとベルをドライバーで叩いて遊んでみたりして
チーン・チーンって・・・
あ~メタルフェチ・メカフェチ~(笑)
こんな内部を見ただけで
涙ものです。(T_T)
こんな事で
感動したりして・・・
では、原因探しです。( ..)φ

受話器を上げた時や
ダイヤルを回している時にも
チリチリと雑音がしたり
原因はいろいろとありそうです。


ダイヤル部分も取り外して見ました。
これがダイヤル本体の裏側です。
このダイヤルは昭和63年8月に交換されて
いるようです。刻印がありました。
この部分には機械式の接点が3か所あるようです。
ダイヤルを ゆっくり と回しながら じっくり と構造を観察します。
すると原因らしき故障個所が見えて来ました。
どうやら原因はこの楊枝がある所でした。
この接点はダイヤルのパルスを刻む役目を担っています。
この接点が完全に閉じていないのが原因のようです。
閉じていないと表現するより、閉じる時 と 閉じない時 がある・・・
ぎりぎりの間隔と表現した方が正確です。
だから番号に対する正確なパルスを刻めないのです。
接点が閉じている時のカンチレバー先端と
回転する角丸?のカムにスキマがほとんどありませんでした。
カムの回転にカンチレバーが追従していない・・・
これでは接点の開閉が不安定で
正確なパルスを刻めずランダムアクセスと
なっていたようです。

早々に治療です(^^ゞ
接点を支えているブラケットを左に少々曲げるつもりで
力をかけてみる。ゆっくりと・・・
カンチレバー先端とカムのスキマを1mm程度あけました。
ダイヤル音を耳を澄まして聞くと
接点の音が心地よくカチカチと鳴るように
なりました。
また全ての接点に#2000程度のサンドペーパー
を挟んで軽く研磨しておきました。
もちろん受話器の接点も軽く研磨しておきました。
くれぐれも軽くです。

円柱の筒の中で回っている物は・・・
これは何かな?っと思ったのが
どうやらガバナーのようです。
ダイヤルスピードの調整をしているようです。
遠心力ブレーキ!素晴らしい・・・シンプルな構造!感激です。
こんなの見て感激しているのは私くらいか?(^^ゞ

この修理で発信のトラブルは全部解消しました。
たったこれだけの修理で治ちゃいました。
番号どうりに回線が接続されるって
当たり前?に素晴らしい
妙に嬉しくって・・・(^^ゞ
※この修理作業の途中に間違い電話で迷惑を掛けて
 しまった方々に深くお詫び申し上げます・・・<m(__)m>

外観を拝見した時に ??? ダイヤルの数字枠が
本体より少々浮いていた原因もついでに判明しました。
本体の樹脂枠とダイヤルベース部の間に
なんとダイヤル配線の白線と赤線が挟まっていました。
なんちゅう取り付けやってるの?( `ー´)ノ
ペシャンコになっていた配線ですが
断線はしていませんでした。
しっかり確認して取り付けしましょうね。
ついでに内部も軽く清掃して・・・


本体を磨いた研磨剤です。
自動車ガラスの強力油膜取です。
20年前に買った年代のも?
台所用クレンザーでは傷だらけになりそうで・・・
ガラス磨きならと使用してみました。
最初は白く曇っていた本体も少し艶が出てきました。
表面の古い樹脂が剥離されたようです。


仕上げはやはり黒色と言うことで(^^ゞ
我が家のピアノ艶出し剤を使用・・・
シリコーン系艶出し剤です。
これを全体に塗り付け
磨きました。
結構光ってきたで~


ごらんのとうり新品のようになりました。
発信も雑音なく
番号とうりの回線接続が出来ました。
あとの課題は
受話器の線の交換くらいか?
カールコードもいいですが
古い物なので袋打ちコードが
いいのですが・・・
3芯の袋打ちコードが・・・
どこに売っている?
アマゾンにあるかな?
また、自作か?
袋打ちコードの中身だけ
3芯に入れ替える?
こんな事できる?
課題です。

この電話機ですが
我が家の電話コンセントに
二股ソケットを経由して
もう一台増やしました。
既設のボタン電話のベル音を
OFFにして
この電話機の着信音を
楽しんでいます。
それにしても
いい音色です。(^^)/